非常事態宣言 スイスの状況

スイスでは、3月16日の夕方5時に政府の発表があり、同日の深夜12時から非常事態としての政策が実施されることになった。食料品店、薬局、ガソリンスタンド、銀行や郵便局を除いてすべて営業停止となり、もちろん学校(大学も含め)も閉校である。

事務系の会社員は、週2回は自宅で仕事、残りは会社へ出向いて仕事をするなど、会社によって多少の違いはあるようだが、毎日出勤という人はほぼいないと思う。建設土木業の人は、現在も工事現場で働いている(南部のティチーノ州を除き)。喫茶店などは、持ち帰りのサンドイッチ等は販売しても構わないということで、なん軒か開いているところもある。営業停止となった店では、宅配サービスを始めたところもある。

営業停止になり収入を失った人への補償を含め、今後の経済支援がどうなるのか、感染拡大の恐怖と同時に失業の不安も大きい。政治家は当初、経済支援の決定には4月半ば頃まで時間がかかるようなことを話していた。しかし、非常事態宣言が出された翌日から収入を失う人もいるので、そんなに遅くてどうするのかと、批判的に受け止めた国民は多かったと思う。結局、政府は、26日から無利息、支払い開始を最長5年まで延ばせる融資を、手続きも簡素化して申請者が直ぐに受けられるようにした。実際、融資初日の26日には朝からどんどん申請が各銀行に入り(オンラインである)、銀行も直ぐに融資できるよう、迅速に対応しているようだ。また、失業保険の対応も早い。自営業の人も収入の補償があり、業種によって違いはあるが、スイスの最低収入になるような額だったと記憶している。

こういう時だからこそ、政府は経済支援を大きくやるべきである。自粛を要請してばかりでは、感染拡大も医療崩壊も防げない上に、失業者を増やし、明日の生活にも困る人たちを見捨てることになる。日本の政治家は現在の状況を危機と受け止めていないようで残念である。いまだに党内の権力争いや、与野党の対立をしている日本の政治家は無責任としか言いようがない。

スイスは残念ながら感染による死者を多く出しているが、高校生が高齢者の買い物を代行するボランティアをしたり、大学生が病院の清掃と消毒のボランティアをしている。また、兵役や民間防衛に就いている人たちも、国のために頑張っている。テレビに映る若者たちの姿に勇気づけられる国民は多いと思う。

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